Vol.2 経営理念成文化への挑戦と決意 ~TCT SUMMIT 2025を振り返って~

不動産屋目線が発信するウェブマガジンです。銀座を中心とした建物の話、外国人の方にもおすすめのマニアックな観光地情報。社長や社員のコンテンツは、私たちが目指す会社の未来をご覧いただけます。
CEO 三田正明が⾏く!
クリエイティブ修⾏の旅
昨今ビジネスにもアート思考が重要! と言われるようになりました。銀座の不動産屋の自分たちにも新規事業、問題解決などで、自由な発想⼒が必要とされます。社⻑の私も発想⼒を磨きクリエイティブな⼈になるために、普段からさまざまな⼈に会い、チャレンジを絶やさないようにしています。この挑戦をアートセンスを磨くための“クリエイティブ修⾏”と銘打ち、WEB マガジンでレポートしたいと思います。ものづくりのワークショップや最新のオシャレスポット、スポーツなどなど社⻑三田正明の挑戦からアートなヒントがお届けできたらと思っています。
社長就任から4年目を迎えた今年、私にとって最も重要な節目となる「TCT SUMMIT 2025 & AWARDS」を2月27日に開催いたしました。銀座ブロッサムで行われたこの経営指針発表会では、長年の課題であった経営理念の成文化をついに実現し、社内外に発表することができました。営業のカリスマであった先代の父とは異なる道を歩む中で、組織改革への挑戦、ベテラン社員との価値観のギャップ、そして自問自答を重ねた末にたどり着いた「原点回帰」の重要性。今回は、この発表会で伝えた、経営者として学んだこと、そして東京中央建物の未来への想いを、このコラムで改めて振り返り、お伝えしたいと思います。
経営者として歩んだ4年間の軌跡

社長就任から4年が経ちました。「自分に売れないものはない」という営業のカリスマであった父の後を継ぐにあたり、営業が得意ではない私は大きな不安を抱えていました。しかし、古い社風に危機感を覚えた私は、社員目線の新しい経営スタイルを模索し、時代に合わせて会社をアップデートすることを決意しました。組織の若返り、サーバントリーダーシップの導入、社員満足度向上など、新しい人材にとって魅力的な会社づくりに全力で取り組んできました。先代の経営を反面教師にしながら、ひたすら走り続けた4年間でした。
組織改革への挑戦と直面した現実

組織改革に取り組む中で、私が直面したのは厳しい現実でした。先代の経営を反面教師としたことで、ベテラン社員との価値観のギャップが次々と表面化。その結果として新ベクトルの不一致を招くことに。理想と現実のギャップに悩み、苦しみました。私が目指していた変革が、かえって組織の混乱を招いてしまったのではないかと葛藤しました。この経験を通じて、自分自身の未熟さを痛感し、すべての責任は自分にあることを遅ればせながら深く理解することができました。表面的な改革だけでは真の変化は生まれないという教訓を得ました。
自問自答から見えた経営の本質

「自分は何を成し遂げたのか?」と振り返った時、答えは驚くほど、何もありませんでした。この現実に直面し、私は経営の本質に本気で向き合うことを決意しました。経営指針を成文化するという4か月間の取り組みを通じて、経営についての理念や価値観を言語化する作業に没頭しました。そこで浮き彫りになったのは、経営者としての自覚の欠如と、理念や存在価値を明確に示せていなかった自分の課題でした。自問自答を繰り返し、内省を重ねた結果、ようやく現時点での答えにたどり着くことができました。真の経営とは、明確な理念と価値観に基づいた一貫した行動にあることを心の底から理解しました。
先代への感謝と価値観承継の覚悟

自分に足りなかったものが何かを深く考えた結果、それは先代への「感謝」、これまで会社を支えてくれた社員への「感謝」、そして価値観を受け継ぐことへの「覚悟」でした。創業者である父との初めての真剣な対話を通じて、創業に対する想いや覚悟、そして父が何を大切にしてきたのかを理解することができました。営業こそ人生という父の哲学、そして当社の本当の強みとは何かを再認識しました。原点をしっかりと受け継ぐことで、はじめて未来が創れるという確信を得ました。これまでの感謝と敬意の意を込めて、新たな経営理念の成文化に至り、TCT SUMMITで発表することができました。
新たな経営理念と10年ビジョンへの決意

迷いながらもたどり着いた先は「原点回帰」でした。東京中央建物は単なる不動産業ではなく、「住まいの価値の提供業」であることを再定義しました。私たちが提供する6つの価値--未来を見据えた価値、資産としての価値、生活向上のアイデア、幸せの拠点としての価値、唯一無二の価値、住む以上の価値--これらを軸とした新たな経営理念を策定しました。そして10年ビジョンとして、価値の「提供」から価値の「創造」へと進化し、マンションデベロッパー事業への参入を決意しました。当社だからこそ創れる唯一無二の住まいを通じて、社員にとっても会社にとっても新たな未来を切り拓いていきます。経営者としてあらためて覚悟をもって、これから挑戦していきます。

東京中央建物二代目社長。2022年ホームページリニューアルの際に、自社メディアとしてホームページ内にWEBマガジン『CLASS ROOM』を立ち上げ、編集長に就任。勤務地であるよく知る銀座や本業で関わる建物を掘り下げることが、価値ある情報になるのではとWEBマガジンを運営している。社長就任にあたって取り組んだ会社と社長個人のブランディングを通して、アートやデザイン、スポーツ等の魅力を知る。趣味はランニング・旅行・ワークアウト・カフェ巡りなど。
現在、no+eでブログを執筆中。
ギンザの不動産会社の社長がマイノリティの立場で考える「誰ひとり取り残さない賃貸」
https://note.com/mitamasaaki/