Vol.10 「立派な社長になってください」 今の私を形作る初契約の記憶
不動産屋目線が発信するウェブマガジンです。銀座を中心とした建物の話、外国人の方にもおすすめのマニアックな観光地情報。社長や社員のコンテンツは、私たちが目指す会社の未来をご覧いただけます。
CEO 三田正明が⾏く!
クリエイティブ修⾏の旅
昨今ビジネスにもアート思考が重要! と言われるようになりました。銀座の不動産屋の自分たちにも新規事業、問題解決などで、自由な発想⼒が必要とされます。社⻑の私も発想⼒を磨きクリエイティブな⼈になるために、普段からさまざまな⼈に会い、チャレンジを絶やさないようにしています。この挑戦をアートセンスを磨くための“クリエイティブ修⾏”と銘打ち、WEB マガジンでレポートしたいと思います。ものづくりのワークショップや最新のオシャレスポット、スポーツなどなど社⻑三田正明の挑戦からアートなヒントがお届けできたらと思っています。
社長になって数年が経ちますが、時折、原点に立ち返りたくなる瞬間があります。今日は、私が営業マンとして初めて契約をいただいた日のことを思い出しながら、当時の自分と今の自分を振り返ってみたいと思います。港北ニュータウン・センター北駅。ここは私にとって特別な場所です。23年前、右も左もわからない新米営業マンだった私が、人生で初めてお客様から「ここに決めます」という言葉をいただいた、忘れられない場所。あの日の感動、あの時の苦労、そしてお客様からいただいた温かい言葉。すべてが今の私を形作っています。初心を忘れず、これからも誠実に、お客様と向き合っていきたい。そんな思いを込めて、少し長くなりますが、お付き合いいただけると嬉しいです。
営業マン1年目、厳しすぎる現実
1999年、新卒で父の会社に入社した私は、最初の4年間を営業事務として過ごしました。住宅ローンや税制の勉強に明け暮れる日々。そして2003年、入社5年目にしてようやく営業部へ。初めて担当したのは、センター北駅の新築分譲マンション。モデルルームもあり、華やかな現場だと期待に胸を膨らませていました。しかし現実は想像を遥かに超える厳しさでした。接客のチャンスなどほとんどなく、ポスティング、キャッチセールス、訪問営業の繰り返し。寒空の下をひたすら歩き回り、夜遅く帰社しては詰められる日々。「なんで自分だけ...」何度そう思ったことか。酷い会社に入ったものだと、心の中で毒づいたこともありました。
巡ってきたたった一度のチャンス
そんな辛い日々の中、ようやく巡ってきた接客のチャンス。お相手は某有名外資系企業にお勤めの、歳の離れた穏やかなご夫婦様でした。緊張のあまり、しどろもどろになる私の拙い説明を、笑顔で頷きながら聞いてくださいました。商談とは呼べないほど不安定な接客だったと、今振り返っても恥ずかしくなります。それでも、恐る恐る差し出したクロージングの言葉に、「ここに決めます」と答えてくださった瞬間に感じた驚き交じりの感動。あの感動は、23年経った今でも鮮明に思い出せます。初めて掴んだ契約。初めて感じた、お客様に選んでいただける喜び。あの瞬間が、私の営業人生の原点です。
「立派な社長になってください」
実は当時、私は社長の息子であることを周囲に知られたくありませんでした。プレッシャーやコンプレックスから、悟られまいと必死だったのです。もちろん、お客様にも隠していたつもりでした。しかし、入居のご挨拶でお会いした際、ご主人がにっこりと微笑んで一言。「立派な社長になってください」と一言。驚く私に「もちろん、知ってましたよ。社長さんと苗字が同じですから」と。思わず「ご存知だったんですね...」「でもそんなんじゃないんで...」と恥じらいながらしどろもどろに答えました。温かく、優しく、そして少し照れくさかったあのやり取りを、今でも鮮明に覚えています。あのご夫婦の笑顔と言葉が、今も私を支えてくれています。
あれから23年、今思うこと
あの日から23年が経ちました。初契約をいただいたマンションは、築23年の風格を纏い、街に溶け込んでいます。そして私は「立派」とまでは言えませんが、今この会社の社長として、日々奮闘しています。営業時代は本当に苦労しました。何度も心が折れそうになりました。でも、あの苦しい時期があったからこそ、現場の大変さも、お客様に選んでいただける喜びも、深く理解できるようになったのだと思います。良いことも、厳しいことも、すべてが今の自分を作る糧になっている、そう実感する日々です。日々起こるハプニングも、喜びも苦労も、すべてを社長の醍醐味と言い聞かせながら、前に進んでいます。
これからも、自分の仕事とお客さまと誠実に向き合う
センター北のあのマンション、あのご夫婦、あの日の感動。それらは私の原点であり、道に迷った時に立ち返る場所です。社長になった今も、営業マンだった頃の初心を忘れず、一人ひとりのお客さまと誠実に向き合っていきたい。それが、あの日「立派な社長になってください」と言ってくださったご主人への、私なりの答えだと思っています。東京中央建物は、お客さまの人生の大きな決断に寄り添う会社です。私たちを信じて選んでくださるお客さまの期待に応えられるよう、これからも社員と心をひとつに、全力で取り組んでまいります。初契約の記憶を振り返り、強い覚悟を改めて感じました。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
東京中央建物二代目社長。2022年ホームページリニューアルの際に、自社メディアとしてホームページ内にWEBマガジン『CLASS ROOM』を立ち上げ、編集長に就任。勤務地であるよく知る銀座や本業で関わる建物を掘り下げることが、価値ある情報になるのではとWEBマガジンを運営している。社長就任にあたって取り組んだ会社と社長個人のブランディングを通して、アートやデザイン、スポーツ等の魅力を知る。趣味はランニング・旅行・ワークアウト・カフェ巡りなど。
現在、no+eでブログを執筆中。
ギンザの不動産会社の社長がマイノリティの立場で考える「誰ひとり取り残さない賃貸」
https://note.com/mitamasaaki/
